東溪日記

聖読庸行

2025-10-09から1日間の記事一覧

【東渓文庫】カント「プロレゴメナ」(4/16)

カント著、桑木厳翼・天野貞祐訳「哲学序説」 序説の一般的問題 (一般に形而上学は可能なるか) 四 もし、真に学としての位置を保持し得る形而上学が存在しているならば、即ちもし「茲に形而上学がある、読者はただ其れを学びさえすれば宜しい。そうすれば…

【東渓文庫】プラトン「ソクラテスの弁明」(3/3)

プラトン著、久保勉・阿部次郎訳「ソクラテスの弁明」 (二十一)これでも諸君は信じ得られるか――私が政治に携はつて、而も善良な人にふさはしきことを為し、正義に与して、これを何者よりも(それは当然の事であるが)重視したとして、それでも私は猶こんな…

【東渓文庫】プラトン「ソクラテスの弁明」(2/3)

プラトン著、久保勉・阿部次郎訳「ソクラテスの弁明」 (十一)古き告訴者が提出したる告訴に対して、私が諸君の前に為すべき弁明は、今言つたところで尽きてゐるであらう。私は今、自ら善良なる愛国者を以て任ずるメレトスや、新告訴者と見做して、今度も亦…

【東渓文庫】プラトン「ソクラテスの弁明」(1/3)

プラトン著、久保勉・阿部次郎訳「ソクラテスの弁明」 (一)アテナイ人諸君、私の告訴者が諸君に果して如何なる印象を与えたか、私はそれを知らない。が、兎に角私にとっては、彼等は殆ど私自身をさえ忘れしめようとした、彼等の弁舌にはそれほどの説得力が…