直木賞、芥川賞の季節が迫っている。人はいう。「なにをおっしゃるうさぎさん、下半期の直木賞は一月だよ」と。それはそうなのだが、候補作候補はいよいよ出揃う頃合なのである。某サイトがその一覧を出してくれるのがもっぱら今のたのしみだ。
それにしても、前回の受賞作なしという結果は、案外不評らしい。私はあの瞬間立上って快哉を叫んだものだが。いや、まあ候補となった方がたにおいては大変だなあと思うけれども。しかし直木賞というのは昔から作家を翻弄するものであるから、どうかこりずに候補に選ばれてやってくれと願うほかはない。
京極さんあたりは受賞作を出そうと苦心したようであるし、あの決定に深い意味を求めるものでもないのかもしれないが、しかし文壇にとっては象徴的だろう。これ、というもののない限り受賞作なしを続けるのがよい。芥川賞も同様、というより芥川賞こそそうすべきであろう。新人向けだからといってハードルを低くしては何にもならない。